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「くすのきエール・マルシェ」への想い

本当の価値を伝えたい

 私たちの扱う商品の中には、すでに高付加価値を実現している商品もありますが、福祉事業所の商品は、しばしばとても安い値段で販売されています。役所や学校、駅前などで利用者の方が販売されていたりするのを見かけ、これは本当に価値に見合った価格なのかと疑問を持つことも少なくありません。

 多くの善意でこれらの商品は支えられているわけですが、丁寧に作られた品質の高い商品は、本来もっと高い価格で販売されるべきものも多いと思うのです。福祉事業所の商品だから安いとか、福祉事業所に頼めば安く作業してくれる、といった安易な考えが障害者の低工賃の背景にあるかもしれません。

 私たちにとって、適切な価格とは、お客様に買って頂ける価格です。極めて低い工賃を前提に、安く作れるから安く売るというものであってはならないと思うのです。このプロジェクトでは付加価値を作り出し、価値を伝えるという課題に取り組んでいます。自分たちで様々なアイデアを生み出すだけではなく、複数の事業所の商品を同時に扱うことで、高付加価値を実現している優良実践例から学ぶことができると考えています。最近では、事業所同士のコラボレーションにも取り組んでいます。

支援ではない連携

 くすのきエール・マルシェは、福祉事業所と大学が、対等な立場で連携することを理念としています。お互いに利益を得ることのできる対等な関係をもつことが、継続的な活動につながり、相互の利益を最大化できると考えているからです。

 福祉事業所には、商品を提供していただいたり、新商品企画に協力していただくことを通じて、大学が必要とする学びの場づくりにご協力いただいています。私たちに福祉事業所を支援する力はありませんが、この連携が障害をもつ方の幸せや社会の変化の小さなきっかけになればと期待しています。

多様性と包摂

 学生は事業所の訪問やマルシェへの参加を通じて、障害者の方との交流の機会をいただいています。福祉事業所の利用者である障害者の方は多様です。身体障害や精神障害、知的障害など障害の種類はばらばらで、もちろん、それぞれに様々な特性をもった方々です。このような方々と実際に触れ合うことで、「障害者」というラベルでひとくくりにできない存在として感じることができます。

 一般の企業では自社の事業が「障害者雇用に適さない」というように考える経営者・管理者も多くいるようですが、そもそも「障害者」は多様な存在であることの理解が十分ではないかもしれません。学生には、包摂や多様性といった問題を頭で理解するだけではなく、現場で感じることを期待しています。この取り組みで育った学生が、将来、指導的立場に立ったときに、この原体験を活かしてより良い障害者雇用の道を切り拓いてくれるのではないかと考えています。

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